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7月, 2025の投稿を表示しています

スパイラルテーピング療法について。早いもので10年以上愛用しています。

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【10年以上】当院のスパイラルテーピング療法:痛みの原因にアプローチ 当院のブログをご覧いただきありがとうございます。 今回は、当院で長年にわたり多くの患者様にご提供し、その効果を実感していただいている**「スパイラルテーピング療法」 についてご紹介させていただきます。実は、この療法を導入してから、もう 10年以上**の月日が経ちました。 スパイラルテーピング療法とは? 「スパイラルテーピング療法」は、田中信孝氏によって確立された「スパイラル・バランス療法」の考え方に基づいて考案されたものです。これは単なる局所的なテーピング技術ではありません。人体が正常な機能を維持するために、 陰と陽という2つの異なる力が組み合わさってバランスを整えている という東洋医学の基本理論に着目した、 総合的な身体調整法 です。 自然界の台風や竜巻、DNAの構造に見られるように、多くのものが「螺旋(スパイラル)」状をなしており、これは条件を調和させる最も無理のない様式とされています。この考え方に基づき、私たちの身体の筋緊張や経絡の流れも螺旋状に絡み合って生体を維持していると捉え、それに逆らわない 螺旋状(スパイラル状)のテーピング を施すのがこの療法の特徴です。 10年以上培ってきた経験、体験。不思議な結果。 当院がスパイラルテーピングを導入して10年以上が経過しました。 スパイラル・バランス療法では、身体のバランスを保つ仕組みを以下の6つの要因から成り立っていると考えています。 抗重力筋を中心とした左右のバランスの取り方 各筋肉相互間のバランスの取り方 各関節間のバランスの取り方 各関節の動きにおける筋肉のバランスの取り方 体全体の動きにおける筋肉のバランスの取り方 上肢・体幹・下肢の相互のバランスの取り方 当院では、これらの要因を詳細に評価し、患者様の抱える様々な症状、例えば 軟部組織損傷(肉離れ、打撲など)や関節周辺部の損傷 、さらには スポーツ障害 などに対し、以下のようなアプローチで対応しています。 徹底した検査法 : 特に、Oリングテストや頸の回旋運動制限検査、脈診などを中心に、筋緊張や痛みの根本原因、そしてテーピングの最適な方向を特定します。Oリングテストで「力がよく入る方向(陽性方向)」にテーピングを行うことで、痛みが軽減または消...

マトリックス・エナジェティクスって何?あなたの「困った」を「できた!」に変える、意識の新しい使い方

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  マトリックス・エナジェティクスって何?あなたの「困った」を「できた!」に変える、意識の新しい使い方 「なんだか体の調子が悪い」「いつも同じ問題で悩んでいる」「もっと自分らしく生きたい」――そんな風に感じたことはありませんか? 今回は、あなたの内なる可能性を引き出し、日々の現実をより良いものに変えるかもしれない、 「マトリックス・エナジェティクス(Matrix Energetics、ME)」。 当院では、このマトリックス・エナジェティクスを皆様の健康と変容をサポートするために活用しております。 マトリックス・エナジェティクスって、どんなもの? マトリックス・エナジェティクス(ME)は、カイロプラクティック・ドクターでナチュロパシー・ドクターでもある リチャード・バートレット博士によって開発された 変容のテクニック です 。MEは、量子的次元とのつながりを通じて、個人の内なる力と知識を引き出し、恐れや限界を手放すことを促すものと提唱されています 。 MEの目指すところは、「問題志向から、解決志向へ」とあなたの考え方を変えること 。つまり、 「何が問題なのか?」と考える代わりに、「どうなったら最高なのか?」という解決策や、すでに解決された状態に意識を向けることで、望む変化を引き起こそう というアプローチです 。これは、単に体の不調を癒すだけでなく、私たちが持つ** 「恐れや限界」を手放し、生まれつき持っている無限の可能性を引き出す**ことを促すものとされています 。MEは、私たちの現実を形作る 「枠」 そのものを新しく張り直し、個人が根本から変容するのを助ける 「意識のテクノロジー 」だと説明されています 。 MEの「特別な考え方」って? MEには、少しユニークな視点があります。 • 「ゼロポイント・フィールド」とのつながり : MEでは、私たち人間は宇宙と一つであり、「ゼロポイント・エネルギー場フィールド」という、宇宙に満ちる神秘的なエネルギーと深くつながっていると考えます 。これは、 いわば「純粋な可能性の領域」であり、MEはこの領域にアクセスすることで、変容を促すことができると説明されていま す 。 • 私たちは「光と情報のパターン」 : MEの考え方では、私たちは「光と情報のパターン」であり、 現実というものは固定されたものではなく、常に変化し、流動的...

肩関節の考察⑩

「肩は精密機械」って本当?知らないと損する「肩の安全装置」の秘密 腕をスムーズに動かしたり、重いものを持ち上げたり、あるいは繊細な作業をしたり…私たちの肩は、驚くほど多様で複雑な動きをこなします。この能力の高さから、肩はしばしば**「精密機械」**に例えられます。単一の関節ではなく、肩関節、肩鎖関節、胸鎖関節という3つの解剖学的関節に加え、肩甲胸郭関節、第2肩関節(烏口肩峰アーチと骨頭間)、烏口鎖骨間メカニズム(第2肩鎖関節)という3つの機能的関節、 合計6つの関節が協調しあって 、その自由な可動性と安定性を両立させています。 しかし、これほど複雑でデリケートな構造を持つ肩が、過度な動きによって自分自身を傷つけないよう、巧妙な**「安全装置」 を備えていることをご存知でしょうか?この安全装置の主な役割を果たすのが、 靭帯や関節包 といった組織、いわば 「ブレーキ」**の仕組みです。今回は、これらの安全装置がどのように機能し、肩の健康を保っているのか、その秘密に迫ります。 肩の動きを制御する「ブレーキ」の正体 私たちの肩が、本来の可動域を超えて動いてしまうと、脱臼や損傷などの大きな怪我につながる可能性があります。それを防ぐために機能しているのが、主に以下の「ブレーキ」機構です。 関節包・靭帯システム(Capsuloligamentary System) 関節を包む袋である 関節包 と、骨と骨をつなぎ関節を補強する 靭帯 が、過度な動きを物理的に制限します。特に若い人ほど、このブレーキが緩く、より大きな関節の動きが許容される傾向にあります。 筋群の緊張 筋群が最大限に伸展することで、動きの最終域での抵抗となり、ブレーキとして機能することもあります。しかし、関節の最大の動きを最終的に止めるのは、あくまでも 関節包を中心としたシステム であるとされています。 緻密に設計されたブレーキの働き 肩の動きは多方向ですが、それぞれの動きに対して異なる「ブレーキ」が働いています。 1. 前方挙上(腕を前方に上げる動き)のブレーキ 腕を前方に上げすぎないように、主に以下のブレーキが機能します。 烏口上腕靭帯 (Coracohumeral Ligament: C-H Lig.) : 腕が 外旋位にある場合 、この靭帯が強く緊張し、前方挙上のブレーキとなり...

肩関節の考察⑨

「肩の引っかかり」や痛みはなぜ起こる?インピンジメントの本当の原因 腕を上げようとすると、肩に「引っかかり」を感じたり、ズキンとした痛みが走ったりすることはありませんか?この不快な症状は、一般的に**「インピンジメント症候群」**と呼ばれています。 これまで、この痛みは「肩の屋根」とされる肩峰(けんぽう)の下のスペースが狭くなり、その下を通る腱板(けんばん)や滑液包(かつえきほう)が挟まれることで生じると考えられてきました。しかし、実はそのメカニズムには、まだあまり知られていない真の原因が隠されているかもしれません。 今回は、肩の痛みのメカニズムに関する最新の知見に焦点を当て、特に 特定の「水平方向の動き」が痛みの本当の原因である可能性 について詳しく解説します。 1. 「インピンジメント症候群」とは?従来の常識 インピンジメント症候群は、腕を上げるときに肩に「引っかかり」や痛みを感じる症状を指します。この症状は、肩の運動によって、上腕骨頭(腕の骨の先端)と肩峰、そしてその間にある烏口肩峰靭帯(うこうけんぽうじんたい)によって構成される**「肩の屋根(烏口肩峰アーチ)」**の下で、腱板(特に棘上筋腱)や肩峰下滑液包が衝突・圧迫されることで起こると考えられてきました [I, p.67, 86]。 実際に、肩峰下のスペースは、腕を上げると狭くなることが観察されています。ある研究では、肩甲骨が内転位から外転位をとるとスペースが狭まることが報告されており [I, p.86]、また別の研究では、腕を能動的に外転すると上腕骨頭が肩峰に接近しスペースが狭くなることが報告されていました [I, p.86]。微小管注入法を用いた実験では、安静時の肩峰下圧が平均8 mmHgであったのに対し、挙上時には39 mmHgに上昇したという結果も得られています [I, p.87]。これらの知見は、一見すると「肩峰下でのインピンジメントの存在」を裏付けているようにも見えます [I, p.87]。 2. 「使いすぎ」では説明できない?肩峰下の新たな真実 しかし、当院の研究では、肩峰下の圧変化について、従来の常識とは異なる興味深い結果が得られています。 垂直方向の挙上では、顕著な圧上昇なし 麻酔下での測定という条件下ではありますが、驚くべきことに、 腕を前方に挙上する(前方...

肩関節の考察⑧

  腕の痛み、実は原因は「使いすぎ」じゃないかも?「ゼロポジション」を知ろう 「肩が痛いのは、きっと使いすぎたせいだ…」多くの方がそう思われるのではないでしょうか?もちろん、過度な負荷は原因の一つになり得ます。しかし、実は肩の痛みの意外な真犯人は、**「動き方の効率の悪さ」**にあるかもしれません。あなたの腕を真上に上げるシンプルな動作の裏にも、肩にとっての理想的な「姿勢」と「動き」が存在します。 今回は、肩への負担を減らし、痛みを軽減するための秘密のヒント、**「ゼロポジション」**についてお伝えします。この理想的な位置を知ることで、あなたの肩はもっと楽に、もっとスムーズに動かせるようになるはずです。 1. 肩にとっての「理想の姿勢」とは?「ゼロポジション」の秘密 「ゼロポジション」とは、簡単に言えば、 肩関節にとって最も負担が少なく、効率的に腕を上げることができる位置 を指します [I]。これは、インドの医師Sahaが1961年に提唱した概念で、肩の運動を考える上で非常に重要な指標とされています [I]。 具体的には、ゼロポジションには以下のような特徴があります [I]。 最小限の動き : 腕を上げる際に、関節面での回旋や滑り(gliding)が最小限に抑えられる肢位です [I]。 軸の一致 : 上腕骨の機能軸と肩甲骨の肩甲棘が一致する肢位であり、上腕骨はもはや内旋も外旋もしません [I]。 安定性 : この肢位では、上腕骨頭が肩甲骨の受け皿(臼蓋)に最も安定して求心位(中心)を保ちます [I]。 角度 : 個人差はありますが、約130度から155度の挙上角度がゼロポジションに近いとされています。特に、当院の計測では、頭部と脊柱を固定した scapular plane N でのゼロポジションは約130度という結果が得られています [I]。 動物の動きに例えると : 四つ足動物が速く駆けるときに前足を伸ばして安定性を保っている肢位によく似ています [I]。 機能的な最大挙上位 : Zero Position以上の挙上は無駄であり、亜脱臼を強制するような感覚があるため、この肢位が最も楽な挙上位であると日常的に経験されます [I]。 この姿勢は、Codmanが提唱した「ハンモック肢位(hammock position)」や「補助...

肩関節の考察⑦

腕が「スッと」上がる秘密!あなたの肩に隠された「第2肩関節」の働きとは? 腕を頭上に持ち上げる。私たちにとってはあまりに自然で、意識することもないこのシンプルな動作の裏には、実は私たちの想像をはるかに超えた、**肩の奥深く複雑な「秘密の仕組み」**が隠されています。 今回は、その秘密の鍵を握る**「第2肩関節」**という機能的な関節に焦点を当て、なぜあなたの腕がスムーズに、そして痛みなく真上に上がるのか、その驚くべきメカニズムを解き明かしていきましょう。 肩は「たった一つの関節」ではない!複雑な「肩複合体」の秘密 多くの人が「肩関節」と呼ぶのは、一般的に上腕骨と肩甲骨がつながる部分(肩甲上腕関節)を指します。これを医学的には**「第1肩関節」 とも表現します。この第1肩関節は、上腕骨の丸い骨頭が肩甲骨の浅い受け皿(臼蓋)にはまる構造をしており、非常に広い可動域を持つ反面、その浅さゆえに 不安定な特徴**を持っています。 しかし、私たちの肩の動きは、この第1肩関節だけで成り立っているわけではありません。肩は、体幹と肩を直接つなぐ唯一の胸鎖関節、鎖骨と肩甲骨をつなぐ肩鎖関節といった「解剖学的関節」の他に、厳密には骨の連結がないにも関わらず、まるで関節のように機能する「機能的関節様関係」が複数存在します。これら全体を総称して**「肩複合体(Shoulder Complex)」**と呼び、互いに複雑に協調し合うことで、驚異的な可動性と安定性を両立させているのです。 そして、腕を真上にスムーズに挙げるためには、この肩複合体の一部である**「第2肩関節」**の働きが不可欠となります。 腕が上がる隠れた主役!「第2肩関節」とは? 「第2肩関節」は、過去には「肩峰下副関節」や「肩関節の屋根」などとも呼ばれてきましたが、解剖学的な関節というよりは、肩の運動機能に深く関わる**「機能的な関節」**として理解されています。 この第2肩関節は、主に以下の4つの要素から構成されています: 肩峰(けんぽう) :肩甲骨の一部で、肩の最も高い部分にある「屋根」のような構造。 烏口肩峰靭帯(うこうけんぽうじんたい) :肩峰と烏口突起(肩甲骨の一部)をつなぐ強固な靭帯で、「肩の屋根」を形成します。 肩峰下滑液包(けんぽうかかつえきほう) :肩峰と腱板の間にあるクッションの...

肩関節の考察⑥

  「五十肩」はなぜ治りにくい?あなたの肩の複雑な「動きの仕組み」を解説! 「肩が上がらない…」「夜中にズキズキ痛む…」。多くの人が一度は経験するか、耳にする「五十肩」という言葉。正式には「肩関節周囲炎」と呼ばれることが多いこの症状は、なぜこれほどまでに多くの人を悩ませ、治療が難しいと感じられるのでしょうか。 その答えは、私たちの肩が持つ、驚くほど**複雑で精巧な「動きの仕組み」**に隠されています。今回は、この肩の奥深い構造を紐解きながら、「五十肩」が治りにくいと感じる理由を探っていきましょう。 肩は「たった1本の骨」で体とつながっている? 前回の記事でも触れた通り、私たちの肩と体幹(胴体)が直接つながっているのは、実は 胸鎖関節(きょうさかんせつ)という小さな関節たった一つ だけです。この頼りないように見える一点を起点に、重い腕全体がぶら下がっているという、まさに**「懸垂関節(けんすいかんせつ)」としての特徴**を持っています。 この不安定性を補い、そして私たちの腕を驚くほど自由に動かすことを可能にしているのが、**「肩複合体(shoulder complex)」**と呼ばれる、肩全体の精巧なメカニズムなのです。 驚異の「肩複合体」を構成する6つの関節 「肩複合体」は、単一の肩関節だけでなく、互いに複雑に協調し合う 合計6つの関節 から成り立っています。 1. 3つの「解剖学的関節」 骨と骨が直接連結している、目に見える関節です。 肩関節(肩甲上腕関節) いわゆる「肩関節」と呼ばれ、肩甲骨の浅い受け皿(臼蓋)に上腕骨の丸い先端(骨頭)がはまる関節です。骨頭のわずか3分の1程度の浅い臼蓋で支えられているため、 非常に不安定 な構造です。 肩鎖関節(けんさかんせつ) 鎖骨の外側端と肩甲骨の一部である肩峰(けんぽう)をつなぐ小さな関節です。肩甲帯(肩甲骨と鎖骨の複合体)の動きを支える重要な役割を担います。 胸鎖関節(きょうさかんせつ) 胸骨と鎖骨をつなぐ、 体幹と肩を直接結ぶ唯一の関節 です。鞍のような形状をしており、臨床的には不安定な面も持ちますが、非常に効率の良い関節でもあります。 2. 3つの「機能的関節様関係」 厳密には関節ではありませんが、骨と骨、あるいは骨と筋肉が協調してまるで関節のよう...

肩関節の考察⑤

肩はたった1本の骨で体とつながっている?驚きの「肩の構造」に迫る! 私たちの体の中でも、肩は特に複雑で、自由度の高い動きを可能にする部位です。腕を上げたり、回したり、物を投げたり、あるいは繊細な作業を行ったりと、その可動性は驚くべきものです。 しかし、その驚くべき運動性の裏には、私たちが普段意識しないような、非常にユニークで一見「頼りない」とも思える構造が隠されています。今回は、 肩が体幹とどうつながっているのか 、その驚きの事実に迫っていきましょう。 1. 唯一の接点「胸鎖関節」 想像してみてください。私たちの腕全体、そして肩の骨格が、胴体(体幹)に直接つながっているのは、実は たった一つの小さな関節 だけなのです。それが、**胸鎖関節(きょうさかんせつ)**です。 この胸鎖関節は、胸骨(胸の中央の骨)と鎖骨(首の付け根から肩に伸びる棒状の骨)の内側端、そして第一肋骨の一部とで構成されています。見た目は小さく、鞍(くら)のような形をしています。 臨床的には、この胸鎖関節は不安定で修復が難しい場合もあるとされていますが、一方で、わずかな面で支点を得ながら、 非常に効率の良い関節 へと変化した結果だとも考えられています。この関節こそが、肩全体の基盤となる肩甲帯(鎖骨と肩甲骨からなる複合体)の**挙上(上げる)、降下(下げる)、そして前後に動かす(前突・後退)**といった動きの支点となります。 2. 「吊り下げられた」肩甲骨と上腕骨 胸鎖関節を介して体幹に連結しているのは、唯一の骨である棒状の「鎖骨」です。この鎖骨から、まるでクレーンで吊り下げられているかのように、 大きな貝殻のような形をした「肩甲骨(けんこうこつ)」がぶら下がっています 。これは、肩鎖関節(けんさかんせつ)という小さな関節と、烏口鎖骨靭帯(うこうさこつじんたい)という強固な靭帯によってしっかりと連結されているのです。 さらに、その肩甲骨にある浅い受け皿「臼蓋(きゅうがい)」に、腕の中心となる 重い「上腕骨(じょうわんこつ)」が接して吊り下げられています 。上腕骨の骨頭(丸い先端部分)がはまる臼蓋は、股関節の受け皿と比較すると非常に浅く、上腕骨頭のわずか3分の1の面積しかありません。この構造は、一見すると不安定に見えますが、これこそが肩の**「懸垂関節(けんすいかんせつ)」としての...

肩関節の考察④

鎖骨は〇〇に似ている?知られざる「肩の骨」の不思議 私たちの肩は、日常生活で何気なく使っている部位でありながら、その内部には驚くほど精巧でユニークな骨の仕組みが隠されています。まるで精密機械のように、一つ一つの部品が複雑に連携し、私たちの腕の自由な動きを可能にしているのです。 今回は、そんな肩を構成する「鎖骨」「肩甲骨」「上腕骨」という3つの主要な骨に焦点を当て、その意外な特徴と、それぞれの骨がどのように肩の複雑な動きに貢献しているのかを深掘りしていきましょう。 1. 「S字形の棒」に似ている?肩と躯幹をつなぐ唯一の骨:鎖骨 肩の骨でまず思い浮かぶのが、**首の付け根と肩の間に横たわる棒状の「鎖骨」**ではないでしょうか。その形は、まさにS字形に二重に湾曲した棒のようだと表現されます。英語では「collar bone(襟の骨)」と呼ばれますが、日本ではオランダ語訳から「鎖骨」という名称が使われています。 この鎖骨には、驚くべき秘密が隠されています。 原始的な形の名残 :モルモットやコウモリに見られる原始的な形に似ていると言われ、家兎(かきょ)では部分的に骨に似た組織があり、上肢の運動時に伸び縮みする「チェーン」のように作用します。これは、鎖骨が単なる固定具ではなく、動きの中で柔軟に対応する役割を持つことを示唆しています。 発生の歴史 :鎖骨は、胎生期に最初に骨化する組織であり、「皮膚骨」という異名も持ちます。体幹と結合する唯一の骨である鎖骨は、物を持ったり、よじ登ったりするために発達したとされており、実際に大や雄牛、馬などには鎖骨がないか、あっても未発達です。 防御のクランクシャフト :鎖骨のS字形の湾曲は、実は内部を通る脈管や神経系を防御するためのものです。まるでクランクシャフトのように機能し、その上を覆う皮膚は運動が容易なように全く自由に動くことができます。 鎖骨は、胸骨や第一肋骨、肩峰、烏口突起と連結し、肩甲骨が躯幹から分かれたものであると考えられています。この「頼りない」とも思える小さな骨が、肩全体を躯幹にぶら下げる唯一の接点となっているのです。 2. 「貝殻」に似ている?腕の土台となる「滑車」:肩甲骨 背中側にある「肩甲骨」は、その薄く三角形をした扁平な形から、日本では「カヒガラボネ(貝殻骨)」、海外では「肩の水かき」や「翼」と...

肩関節の考察③

あなたの肩は「忘れられた関節」になっていませんか? 「肩が凝る」「五十肩かな?」— 私たちの日常生活で、肩に関する悩みは尽きません。しかし、私たちは普段、この「肩」がどれほど重要で、どれほど精巧な仕組みを持っているか、意識しているでしょうか? 実は、かつて私たちの「肩」は、 「忘れられた関節」 と評される時代がありました。他の身体部位に比べて、研究や治療の関心が薄く、あまり顧みられることがなかったのです。頭部や内臓の研究が華やかな進歩を遂げる一方で、肩は日陰の存在でした。しかし、その精巧な仕組みは、 精密機械にも例えられるほど であり、その複雑な運動のリズムは 感嘆に値する ものです。 今回は、そんなあなたの肩の秘められた重要性についてご紹介します。 「忘れられた関節」と呼ばれた時代とは? 私たちの身体の中で、骨組織が比較的長く形をとどめるため、古代では四肢や関節に関する観察や記述が多く見られました。紀元前から骨折や脱臼の治療法は存在し、医聖ヒポクラテス(HIPPO CRATES)の綿密な肩の解剖と脱臼治療の記載には、現代の肩専門医も感嘆するほどです。しかし、医学全域から見ると、肩疾患への関心はほとんど払われていませんでした。この事実は、1962年に英国のギルディング(GILDING)が行った講演演題**「肩―忘れられた関節」**に如実に象徴されています。 日本では、明治以降に西洋医学が導入され、伝統的な整骨術が一度は禁止されました。その後、各地の大学に整形外科が開設され、肩関節疾患もそこで治療されることになりますが、地域によっては依然として患者が「ほねつぎ」を訪れることも少なくありませんでした。日本整形外科学会で初めて「肩」が宿題として選ばれたのは1947年のことですが、脊椎や股関節、膝関節の分野に比べて、 依然としてマイナーな領域 でした。 肩の知られざる精巧さと奥深さ では、なぜ肩は「忘れられた関節」でありながら、これほどまでに「精密機械」に例えられるのでしょうか? まず、私たちが普段使う「肩」という言葉の範囲は非常に広いことに驚かされます。頚から腕までの曲線全体を指したり、三角筋周辺の腕の付け根あたりを指す名詞的な用法だけでなく、「肩の荷が下りる」「肩で風を切る」のように、責任や感情、対人関係を表す 動詞的用法 も持っています。 医学...

肩関節の考察②

昔の人の肩は〇〇だった?肩の進化に隠された驚きの秘密 突然ですが、私たちの「肩」が、遠い昔、一体どんな形をしていたかご存知でしょうか? 「肩が凝る」「五十肩」といった現代人の悩みとは無縁そうにも思える昔の人の肩。実は、私たちの肩は、太古の生命の神秘的な進化の物語を秘めているのです。今回は、魚のヒレから始まり、恐竜の時代を経て、二足歩行をする人類の肩がどのように現在の形になったのか、その驚きの秘密を紐解いていきましょう! 始まりは「魚のヒレ」だった?!太古の昔に隠されたルーツ 遥か昔、私たちの肩の原型は、なんと 魚の横のヒレ から発達した、という学説がGEGENBAUER氏(1878年)によって提唱されています。つまり、現在の私たちの肩は、魚から始まっているのです。それ以前の動物には、肩と呼べる部位は存在しなかったと考えられています。 この事実だけでも驚きですが、その後、肩は様々な動物の進化とともに、その形と機能を大きく変えていきます。 恐竜時代:機能は未分化から球関節へ 約1億5千万年前のジュラ紀後期に生息した**剣竜(ステゴサウルスの仲間)**の肩関節は、まだ蝶番関節の域を出ておらず、まるで「前輪駆動の車」のように移動していたと想像されています。この頃の肩は、機能的にはまだ未分化だったと言えるでしょう。 しかし、約1千万年ほど時代が下った草食恐竜の マメンチサウルス では、巨大な上体を支える必要からか、肩甲骨は棒状のままでありながらも、肩関節はしっかりとした 球関節へと変化 しています。 さらに、約1万5千万年前の**オオナマケモノ(エレモテリウム)**は、水辺で草食をするために首を長くし、肩甲骨は扁平化して胸郭にしっかり張り付き、**前肢に巧緻性(こうちせい)**を持たせていました。これは、現在の哺乳動物に近い肩の形態へと変化していることを示唆しています。 中には、少し退化した例もあります。白亜紀後期(約7千7百万年前)の ハドロサウルス の前肢はやや矮小化しており、約6千5百万年前の いわきクジラ の肩甲帯は、水中での抵抗を少なくするために退化・消失し、扁平な「櫂(かい)」のような形になっています。これは、現在の ゴンドウクジラ もほとんど同じ形状をしており、彼らの生態が変わっていないことを示しているのです。 哺乳類時代:巧緻性とスピ...

肩関節の考察①

「肩が凝る」「五十肩」だけじゃない!奥深い「肩」の正体とは? 「肩が凝ってつらい…」「腕が上がらないから、たぶん五十肩かな?」 日々、私たちは診察室でこのようなお悩みをよく耳にします。同時に、日常会話でも「彼は肩をいからせて歩いているね」とか「彼女はなで肩で優しい雰囲気だね」なんて表現も使われますよね。 考えてみれば、「肩」という言葉は、実に様々な場面で使われています。 例えば、物を背負う**「肩掛」 や、誰かを応援する 「肩入れ」 、責任を負う 「肩の荷がおりる」 といった表現は、単に体の部位を指すだけではありません。苦痛を表す 「肩で息をする」 や、威勢の良さを表す 「肩で風を切る」 のように、感情を表現する際にも「肩」が使われます。また、 「肩を並べる」**といった対人関係を示す動詞的用法もあり、その範囲は非常に幅広いのです。 では、一体、私たちが「肩」と呼んでいるのは、体のどの部分を指すのでしょうか?そして、この日常に溶け込んだ「肩」という言葉の裏には、どのような奥深い真実が隠されているのでしょうか? 「肩」のルーツを探る:漢和辞典と欧米の視点 まず、言葉のルーツから「肩」を探ってみましょう。 漢和辞典を開くと、「肩(けん)は臀の本、即ち膊(かた)也」とあり、 「肩の形に象る」象形文字 であることが分かります。文字の成り立ちからも、「肩」が単なる「肉の塊」ではない、何か意味深い形を表していることがうかがえます。 一方、欧米では「shoulder(ショルダー)」という言葉で肩を表しますが、辞書には「頚と上腕間の躯幹部分、あるいは身体と上腕を連結する関節」と明確に、 二つの部分の総称 であると説明されています。さらに医学の世界では、「shoulder joint(肩関節)」と「shoulder girdle(肩甲帯)」に分けて、より詳細にこの部位を区別しています。 私たち日本の医学界でもこれに倣い、 「肩関節」 は、体幹から腕が分かれる「肩甲上腕関節」を指し、 「肩甲帯」 は、鎖骨と肩甲骨からなる腕の付け根全体を指します(上肢帯とも呼ばれます)。つまり、医学的に「肩」と呼ぶ場合、それは 「肩関節」と「肩甲帯」の全てを包括した広い範囲 を指すのが最も適切だと考えられています。 肩は「奇妙な骨」と「精密機械」でできている?! 私たちの「肩」を形...

痛みの根本原因にアプローチ!当院のカウンターストレイン療法と全身調整

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痛みの根本原因にアプローチ!当院のカウンターストレイン療法と全身調整 日常の慢性的な痛みや不調に悩んでいませんか?「どこに行っても改善しない」「痛みの原因が分からない」といったお悩みをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。 当院では、一般的な治療では改善しにくい症状に対し、**「カウンターストレイン」**という独特な手技療法を取り入れています。このアプローチは、ただ痛い部分を施術するだけでなく、あなたの身体が本来持っている自己回復力を引き出し、根本的な改善を目指します。 カウンターストレインとは? 「身体にやさしい魔法の姿勢」 カウンターストレインは、ラリー・ジョーンズDO(オステオパシー医師)によって開発された 間接的なオステオパシー手技療法 の一種です。主に筋肉や筋膜の 「圧痛点(テンダー・ポイント)」 と呼ばれる痛みの集中する場所を見つけて治療します。 この手技の最大の特徴は、 痛い部分を無理に伸ばしたり押したりしない ことです。むしろ、痛みを感じる筋肉を、**患者様が「最も楽だと感じる姿勢」**に優しく誘導し、その姿勢を90秒ほど保持します。まるで、身体が一番落ち着く場所を探して、そっと休ませてあげるようなイメージです。 なぜ、楽な姿勢で痛みが和らぐのでしょうか? この療法は、筋肉の過剰な緊張を脳からの信号を調整することで「リセット」するメカニズムに作用すると考えられています。緊張し続けていた筋肉が解放され、身体が本来の機能を思い出せるように促すのです。無理な力を加えないため、 急性期の痛みや、骨が弱くなっている方(骨粗鬆症など)、手術後のデリケートな身体状態の方にも安全に適用できる のが大きなメリットです。 当院独自の「全身調整アプローチ」:なぜカウンターストレインだけではないのか? 私たちの身体は、バラバラな部品の集まりではありません。オステオパシーでは** 「身体は一つのユニットである」 **という原則を大切にしています。そのため、当院では痛い部分だけを見るのではなく、その痛みがどこから来ているのか、全身のバランスや姿勢の歪みから根本原因を探ることを重視しています。 腰痛専門、ひざ痛専門を掲げる整骨院や整体院もありますが、一部分だけの治療では再発します。 当院のカウンターストレインアプローチでは、以下の要素を組み合わせて、よりパ...

オステオパシーとは?当院が大切にする「身体の声」を聞くトータルケア

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オステオパシーとは?当院が大切にする「身体の声」を聞くトータルケア 皆さま、こんにちは!氣音の坪倉です。 当院では、皆さまの健康をサポートするために様々なアプローチを取り入れています。その中でも特に重要視しているのが、** 「オステオパシー」 **という考え方です。 「オステオパシーって何?」と感じる方もいらっしゃるかもしれませんね。今回は、その奥深い世界を少しご紹介したいと思います。 オステオパシーとは?その哲学に触れる オステオパシーは、19世紀後半にアメリカの医師アンドリュー・テイラー・スティルによって提唱された、 身体全体を一つのユニット(単体)として捉える 、トータルなヘルスケアシステムです。 健康と病気が、身体の構造と機能の複雑な相互作用によって決定される という哲学に基づいています。 この哲学は、以下の 4つの基本原則 を信条としています: 身体は1つのユニット(単体)である 身体は多くの部分から成り立っていますが、それぞれの部分は他の部分のために機能します。骨格、筋肉、内臓、神経、血管、リンパなど、 身体のあらゆる部分が相互に連結し、精神的・霊的な心の作用とも密接に関わっている と捉えます。 身体は独自の自己防衛と自己調節の機序をもつ 人体には、生涯を通じて自らを防御し、修復し、調整する 自己治癒力 が備わっています。オステオパシーは、この身体本来の能力を最大限に引き出すことを目指します。 機能と構造は相互に関連する この原則は、「構造(Structure)が機能(Function)に影響を及ぼし得るし、機能も構造に影響を及ぼし得る」ことを意味します。例えば、身体の歪み(構造の変化)が内臓の働き(機能)に影響を与えたり、逆に内臓の不調が筋骨格系に現れたりすることがあります。 合理的治療は上記3原則を考慮する 治療は、これら3つの原則を考慮に入れ、 患者さん一人ひとりのニーズと独自のパターンに合わせて、個別に行われる べきだと考えます。 当院のオステオパシー的アプローチ 当院では、このオステオパシーの原則に基づき、皆さまの**「症状」だけでなく、その根本にある「原因」を探し、身体全体を包括的に診る** ことに重点を置いています。 具体的なアプローチの例としては、以下のような視点から、患者さ...